コンセプトは「この町の病院」 - ​金井病院

金井病院は1977年に、先代理事長が京都市伏見区の淀駅前に金井内科医院を開設したのが始まり。当時、淀地域は医師不足で、開業後は1日100人を超える患者さんが来院。その後、「地域に入院病床を設置してほしい」という住民の切実な声に応える形で、1984年、現在の場所に金井病院を設立しました。

病院開設当時からのコンセプトは「この町の病院」。地域のニーズには全て応えたいという一心で、それは今も変わりません。

2007年に先代が他界し、金井伸行理事長が就任すると、「救急医療」「在宅医療」「予防医療」を重点項目三本柱に掲げます。この三本柱を強化するため、「赤ちゃんからお年寄りまで、臓器にこだわらず総合的に診ることのできる診療チームを作りたい」と準備に準備を重ね、2015年に「総合診療科」チームを立ち上げ。翌2016年、外来フロア中央に「家庭医療センター」をオープンしました。

乳幼児から高齢者まで、風邪や外傷、さらにはメンタルヘルスに至るまで、幅広い症状・疾患に対応し、初診後も責任をもって継続的に患者さんを診る。そんな主治医機能の中枢が「家庭医療センター」です。


家庭医療センターでは、総合診療医が地域医療の司令塔となり、院内の臓器別専門医と随時連携しています。また、近隣に診療所が少ないため、金井病院が地域のプライマリ・ケア全般を担っていることから、患者層に偏りが少なく、小児の患者が約3割を占めている点も特徴的で、「いつでも何でも相談に乗ってくれる」と近隣住民から高い評価を得ています。

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現在、総合診療科には常勤・非常勤合わせて10人の医師が在籍。ワークライフバランスを重視し、各々がフレキシブルな働き方で診療を担っています。

全診療科で1日300人程度の外来に対応するだけでなく、病棟(一般急性期病床42床、地域包括ケア病床40床、障害者病床44床、計126床)、在宅医療(機能強化型在宅療養支援病院・訪問看護ステーション・デイサービスセンター)、予防医療(健診・人間ドック・産業医・フィットネスクラブ)、学校医・園医活動、また、淀地域で唯一の24時間救急病院(二次救急告示病院)として、年間500台程度の救急車を受け入れています。

金井 伸行

 

1999 京都大学医学部卒業 飯塚病院研修医
2004 洛和会音羽病院総合診療科
2005 同救急救命センター
2007 医療法人社団淀さんせん会金井病院理事長 
2015 関西家庭医療学センター共同オーナー・指導医 京都大学医学部臨床准教授

「かかりつけ『病院』が何たるか」を学んだ

総合診療・家庭医療の専門病院

病院と言えば「各科の集合体」というイメージですが、金井病院はそうした一般的な病院とは一線を画しています。むしろ、「総合診療・家庭医療の専門病院」と言った方が近いのです。ここでは総合診療医が病院の中心的存在として活躍しています。総合診療専攻医の立場から見ると、外来、病棟、救急、在宅、さらには地域ヘルスプロモーション活動までの全行程をシームレスに経験できる病院として、全国的に見ても希少価値が高い研修施設だと思います。

専攻医は1日3スロットで外来、救急、病棟のいずれかをローテーションで担当。救急は医師1人、看護師1人のチームで、内科系の救急搬入症例をほぼすべて受け入れているほか、軽症・中等症の外傷症例の初期診療も行います。

当直は週1回で、救急と院内の急変に対応。忙しさは日によりますが、寝られないということはありません。入院診療は、基本的には主治医制ですが、時間帯ごとにローテーションで病棟担当医を決めているため、オンオフははっきりしています。

定時は18:00で残業も少なく、18:00台に帰れることが多く、遅くとも20:00には退勤しています。ただし、勤務時間中は忙しいので、机に座ってゆっくりしていられる時間はなく、充実した毎日です。

ちなみに、関西家庭医療学センターの専攻医は金井病院と大阪赤十字病院の両方に通えるように、京阪本線沿線に住む人が多いです。

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地域との関係づくりは一朝一夕でできることではない

病院がないところに先代が病院を開設したため、病院に対する住民からの信頼の厚さ、かかりつけ医としての役割の強さを実感しています。

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地域ヘルスプロモーション活動もやりやすい環境です。例えば、子育てに役立つ住民向け講座を開講しようと役所に相談すると、「金井病院さんでそんなことまでしてくれるんですか!」と歓迎され、地域の親子イベントで健康相談ブースを設けるに至りました。近隣の保育園からも様々な相談をいただくなど、地域との距離の近さを感じる場面が多いです。

こうした地域との関係づくりは通常、一朝一夕でできることではありません。地域に頼られているからこそできること、その歴史の重みを垣間見ることがあります。

そういった意味でかかりつけ診療所ではなく、「かかりつけ『病院』が何たるか」を私は金井病院で学びました。

やる気があれば何でもできる、いろんな思いを形にすることができる

加えて、金井病院は院内の改善活動をしやすい規模の組織だと思います。

例えば、専攻医が中心となって外来の受付から会計までの流れを変えたり、問診票を改訂したり、救急物品カートの中身を院内で統一したり、患者さんに渡すインフルエンザのパンフレットを作成したりしました。

金井理事長が総合診療医ということもあり、専攻医のやりたいことに理解があるので、やる気があれば何でもできる、問題だと思ったら変えられる、いろんな思いを形にすることができる、そこが面白い病院でもあります。歯車ではなく、一人一人が軸として活躍できるので、やりがいを感じる職場です。

私は今、2人目を妊娠しています。地域の子育て支援をより充実させたいと考えています。

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成瀬 瞳

 

2014 滋賀医科大学医学部卒業 洛和会音羽病院研修医
2017 関西家庭医療学センター専攻医
2021 金井病院総合診療科

この稀有な環境で「地域を診られる医師」に

淀地域は京都市内に位置しており、京都医療センター、京都岡本記念病院、宇治徳洲会病院、京都第一赤十字病院、済生会京都府病院など、周りに大きい病院はたくさんあります。

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和田 幹生

 

2004 京都府立医科大学医学部卒業 京都第一赤十字病院研修医
2006 公益社団法人地域医療振興協会専攻医
2009 市立福知山市民病院
2018 市立福知山市民病院大江分院分院長
2020 金井病院総合診療科副部長 兼 家庭医療センター長

一方で、住み慣れた地域で暮らし続けるためには、浅く広く、横断的に入院を受け入れられる病院が必要。超急性期からダイレクトに在宅に戻ることは難しいのが現状です。

その受け皿となり、淀地域で「この町」の病院として地域医療をマネージメントしているのが金井病院。

 

「入院患者をどう地域に戻すか」はこういう病院でないと学べません。が、そういった病院はなかなかありません。

 

この稀有な環境、家庭医が育つのにふさわしい環境で、総合診療専攻医にはぜひ、患者中心の医療を学びつつ、地域の医療資源をマネジメントできる力を養い、「地域を診られる医師」を目指してほしいですし、一緒に創っていきたいですね。